第392章 それは深愛、好きではない（2）

常盤燿子はコーヒーを一杯飲み終えたが、有栖川涼はまだ来ていなかった。

彼女は携帯を取り出し、有栖川涼に電話をかけた。

誰も出なかった。

常盤燿子は眉をひそめ、有栖川涼は運転中で電話に出られないのだろうと思い、携帯を置いて、店員を呼んでもう一杯のコーヒーを注文した。

長い待ち時間を過ごすために、常盤燿子はカフェの本棚から適当に雑誌を一冊取り、隠れた場所のソファに座って、退屈そうにページをめくっていた。

雑誌の広告まで一字一句読み終えても、有栖川涼はまだ現れなかった。

常盤燿子は携帯を手に取り、時間を確認すると、もう7時近くだった。

彼女はすでに2時間も待っているのに、彼はまだ来ない。仕事に追われているのか、それとも...？

常盤燿子は考えながら、再び有栖川涼に電話をかけた。前回と同様に、電話は最後まで鳴り続け、ビジー音に変わったが、やはり誰も出なかった。