第384章 あなたの妻はあなたの妻ではない（4）

もし彼女がこの指輪を見なかったら、おそらくこのような衝動は感じなかっただろう。

彼が彼女に好きだと答えようと、好きではないと答えようと、彼女は素直に受け入れるつもりだった。

これが彼女の最後のチャンスだったから。もし尋ねなければ、彼女はこの一生を、答えを知りたいという後悔の中で生きることになるだろう。

彼女は今、和泉沙羅の身分を借りて彼にこの質問をするしかないことを知っていた。

そして彼女はもっとよく知っていた。今の彼はすでに既婚者であり、たとえ彼の答えが「好き」だったとしても、彼女には彼と一緒になるチャンスはもうないことを。

でもそれでいい。彼が常盤燿子のために変わったことを知っているし、答えも常盤燿子に向けて言われるものだと分かっていた。

彼女はただ、彼と彼女の物語に完全なピリオドを打ちたかった。そして、長年の偏執的で後悔のない片思いに決着をつけたかっただけだ。