有栖川涼の体は、激しく震えた。そして電話から柊木誠一の声が聞こえた。「涼さん?まだ聞いてますか?」
彼の頭はトラブルメーカーへの誤解でいっぱいになっていた。彼は柊木誠一に返事をせず、電話を切り、携帯を握ったまま数秒間その場に立ちすくんだ後、急いで部屋を飛び出した。ドアも閉めずに大和くんの部屋へ駆け寄り、何度もインターホンを強く押した。
なるほど、彼女が子供を産むと約束しながら、避妊薬を飲んでいた理由がわかった。
なるほど、彼がキャッシュカードを渡しても、彼女が一銭も使わなかった理由がわかった。
なるほど、彼が彼女にたくさんのプレゼントを買っても、彼女が一度も使わなかった理由がわかった。
彼が好きになったトラブルメーカーは、和泉沙羅が探してきた代役に過ぎなかったのだ……