探し回ること、さらに二時間が過ぎた。
依然として何の収穫もない。
皆が有栖川涼はもう望みがないと思っていたが、常盤燿子は現実を受け入れたくなかった。頑固に川辺に残り、立ち去ろうとしなかった。
公安庁の人たちは彼女が帰らないのを見て、自分たちも帰りづらく、ただぎこちなく彼女に付き添うしかなかった。
常に常盤燿子に付き添っていた中年の警察官は、彼女の裸足が傷だらけで、夜の川辺の寒さで唇が紫色に凍えているのを見て、心が痛み、実習中の若い警察官を近くのスーパーに走らせた。
実習中の若い警察官は靴一足と、大きな袋に入ったパンと水を買ってきた。
中年の警察官が靴を常盤燿子に渡すと、一晩中歩き回って疲れ果て、川辺に座り込み、目の前の川を呆然と見つめていた彼女は、靴を見て小さな声で「ありがとう」と言い、靴を履くとまた動かなくなった。