第415章 トラブルメーカーであって、和泉沙羅ではない（5）

トラブルメーカーはとても忙しいようで、メッセージの返信も少なく、やっと時間ができて少し話しても、すぐにまた何か用事ができてしまうようだった。

トラブルメーカーが本当の和泉沙羅ではないと知っているせいか、有栖川涼はどうしても心の底が落ち着かなかった。本来ならもう数日病院に滞在するはずだったが、水曜日の朝、トラブルメーカーが今日は忙しさが一段落して家に帰ると言っていたことを思い出し、すぐに陸田透真に退院手続きを急がせ、東京に戻った。

別荘に戻ったのは、ちょうど昼頃だった。

家政婦だけが家にいて、彼女は有栖川涼が事故に遭ったことを知らなかった。車が庭に入ってくる音を聞いて、最初は嬉しそうに出迎えたが、有栖川涼が車から降りて頭に巻かれた包帯を見ると、すぐに大騒ぎして心配し始めた。「有栖川さん、これはどうしたんですか？怪我をされたんですか？深刻なんですか？今すぐ夏目医師を呼んだ方がいいでしょうか…」