第410章 彼女の一目で、彼の一生を買い取った(10)

トラブルメーカーについては……かつて、彼女にニックネームをつけたことがあったじゃない?「かまちょ姫」って。

たぶん彼は何気なく言っただけなのに、彼女が深く受け止めすぎたんだ。彼のことが好きすぎて、昼も夜も彼が自分を好きになってくれることを期待して、いつも愚かで学習しないで、彼のちょっとした変化を、彼が自分に気があるという証拠だと思い込んでしまう。

でもまあいいや、どうせこれからは、彼のために愚かな真似はしないから。

常盤燿子は胸の奥が痛むだけだった。まるで誰かがナイフで心臓をかき回しているようで、呼吸するのも辛かった。

どれくらいしゃがんでいたのか分からないが、手のひらの携帯電話がまた震えた。

高橋静香からの電話だった。おそらくなぜまだ到着していないのかと急かしているのだろう。