常盤燿子が上杉琴乃に水を注いでいる時、ついでに陸田透真と有栖川涼にも一杯ずつ注いだ。
彼女がトレイを持ってキッチンから出てきた時、ドアの前に立っていた有栖川涼はちょうど電話を切り、携帯をしまいながら部屋の中を一瞥し、視線がたまたま彼女の上を通り過ぎた。
常盤燿子は緊張して思わずトレイをきつく握りしめ、気づかないふりをしながらゆっくりとテーブルに近づき、トレイを置いた後、まず陸田透真にコップを渡し、それから一杯の水を持って上杉琴乃の前にしゃがんだ。
コップを受け取った陸田透真は、礼儀正しく「ありがとう」と言った。
常盤燿子は彼に浅い笑みを返しただけで、何も言わず、酔ってぼんやりしている上杉琴乃の口元にコップを持っていった。
陸田透真は水を半分ほど飲み、上杉琴乃が柊木誠一の彼女であるのに、彼と有栖川涼に一緒に家まで送られたことを思い出し、さらに部屋の中の四人が誰も話さず、雰囲気が少し気まずいので、説明しながら雰囲気を和らげようと口を開いた。「誠一も酔っぱらって、車の中でぐっすり寝てるんだ。一人で上がるのもどうかと思って、涼さんにも一緒に来てもらったんだ。」