第460章 こんにちは、私は常盤燿子です(10)

インタビューを担当したのは女子学生で、有栖川涼に憧れを抱いていた。予定していた質問が終わっても終わらせようとせず、自分で考えた質問をし続け、最後には今回の講演内容とはかけ離れた質問をするようになった。

有栖川涼は優雅に壇上に立ち、表情に変化は見せなかったが、壇下にいた常盤燿子は、彼が眉を下げた時、その苛立ちを見て取った。

教養と度量のおかげで、彼の顔には常に公式な笑みが浮かんでいた。

しかし女子学生の質問はどんどん度を越し、最後にはプライベートな話題にまで及んだ。

有栖川涼の笑みが次第に薄れ、目には冷たさが浮かび始めた。常盤燿子はこのままでは何か問題が起きると恐れ、急いで壇上に駆け上がり、女子学生の質問攻めを遮った。「すみません、インタビューの時間はもう終わりです。この後、有栖川さんには他の予定があります」