第483章 私は涼の部屋で寝る(3)

常盤燿子は和泉沙羅と有栖川様に背を向けて立ち、スーツケースを握る指に、制御できないほどゆっくりと力が入っていった。

17階の有栖川様の部屋の前に到着すると、和泉沙羅はようやく道中ずっと続けていたおしゃべりを止めた。彼女は常盤燿子がカードキーをスワイプしてドアを開けるのを待ち、まず有栖川様を部屋に案内した後、常盤燿子に向かって小声で「ここで少し待っていて」と言い、彼女の指先から有栖川様のスーツケースを受け取って部屋に入った。

ドアは閉まっておらず、常盤燿子は入口に立ったまま、和泉沙羅が有栖川様の身の回りの世話をし、洗面を済ませた後、有栖川様とソファに座ってしばらくテレビを見ているのをはっきりと見ることができた。常盤燿子の足がすでに少し痺れてきた頃、和泉沙羅はようやくゆっくりと立ち上がり、有栖川様に別れを告げた。