第505章 マンゴージュース、トラブルメーカー、終点（5）

常盤燿子は椅子にきちんと座り、動くことを恐れていた。少しでも気を抜けば、自分の偽装がすべて崩れてしまうかもしれないと思ったからだ。

彼女は有栖川涼に向かってゆっくりと頷き、想像していたよりもずっと落ち着いた声で答えた。「いいですよ」

有栖川涼はタバコに火をつけ、一服した後、明らかに気持ちが落ち着いてきた。彼の声も静かになった。「あの夜、僕は彼女に『子供を作ろう』と言ったんだ。彼女は同意してくれた」

「歌を歌い終わった後、彼女から自分から僕にキスをしてきた」

「車で彼女を家に送る途中、彼女の気分が少し良くないように感じたから、道端の24時間営業しているいくつかの店の前で、ゲームをしたんだ」

「そのゲームは、日本円に心の内を書いて、それを使って、いつか相手の手元に巡り会うかどうかを見るというものだった…」