第506章 マンゴージュース、トラブルメーカー、終点(6)

有栖川涼は話を続けようとしたが、常盤燿子のこの行動を見た瞬間、口に出かかった言葉が突然止まった。

トラブルメーカーはマンゴーを食べないのだ。

彼女が彼に歌を歌ってくれたあの夜、彼はそれを知った。

その時の彼女は、マンゴーミルクティーを一口飲んだだけで、何か耐え難いものを食べたかのように、身をかがめて吐き出した。

しかし今…彼の向かいに座っている少女は、まばたきひとつせずに、ごくごくとマンゴージュースを一気に飲み干した。

飲み終わると、彼女はグラスを置き、優しく微笑みながら彼に言った。「やっぱり本当においしいですね」

有栖川涼は何も言わず、常盤燿子をじっと見つめ、何かを繰り返し確認しているようだった。

上杉琴乃は彼女の不在着信を見れば、必ず電話をかけ直すはずだ。

彼女はマンゴーにアレルギーがあるが、すぐに反応が出るわけではなく、少なくとも1時間ほどかかる。