第517章 帰期未定の人を待つ(7)

「知っておくべきだが、一般的に解雇歴のある人は、新しい仕事を見つけるのが非常に難しい」

露骨な脅しだと、常盤燿子には分からないはずがなかった。

しかし彼女は、有栖川様がそのような言葉を口にできるなら、そのような行動も取れることを知っていた。

もし彼女が辞表を書かなければ、おそらく彼女の人生において、良い会社に入ることは望めないだろう。

常盤燿子は大和くんが手に持っていたペンと紙を見つめ、しばらく黙った後、手を伸ばして受け取った。

大和くんは無意識に指に力を入れ、常盤燿子はしばらく紙を引き出せなかった。

常盤燿子は目を上げ、大和くんに軽く微笑みかけると、手に力を入れて紙を無理やり引き抜き、有栖川涼のデスクに向かって歩いていった。彼女は身をかがめ、ペンを持ち、少し躊躇した後、「辞表」という二文字を書いた。