第526章 帰期の定まらない人を待つ(16)

おそらく有栖川涼に感染されたのか、個室内の雰囲気は少し物悲しいものになった。

かつては嵐のように勇敢に戦った戦士たちも、今このような複雑な感情を語る時、誰もが何と返せばいいのか分からなくなっていた。

しばらくして、ようやく誰かが声を上げ、ぎこちない言葉で有栖川涼を慰めた。「有栖川隊長、古いものが去らなければ新しいものは来ないって言いますよ。あまり執着しないで、もしかしたら明日来るものこそが最高かもしれませんよ。」

「そうそう、誰だって人生で恋愛に失敗することはあるさ。初恋が素晴らしいのは、最初だからこそ。でも最初のものが必ずしも最高とは限らないんだ。」

「だから、有栖川隊長、早く真の愛に出会えることを願ってるよ!」

最後に話した人が杯を上げ、乾杯の構えをとった。