088章 藤崎若旦那はあれなの?(一)

カイエンは広い道路を素早く走り抜け、帝光エンターテイメントシティに向かった。露天広場の脇に駐車スペースを見つけると、車を停めた。

三人がエンターテイメントシティに入ると、中は既に人の波のように混雑しており、行き交う人々が絶えなかった。

須藤菜々は星野夏子の手を引いてショッピングモールに突進し、阿部恒はまるで小さなお供のように彼女たちの後ろについて荷物を持つ役目を果たしていた。

彼らはまずウェディングドレスショップを一周してから、ジュエリーモールへ向かった。

須藤菜々は性急な性格で、何か心に決めたことはすぐに実行したいタイプだった。指輪選びもそうだった。

勢いよくジュエリーモールに向かい、ショーケースの中で輝き、目を奪うダイヤモンドリングを見ると、須藤菜々も思わず目を輝かせた。