第110章 清川の年会(一)

水曜日から、清川グループはほぼ休暇明けとなり、会社全体が木曜日の社内年次総会を楽しみにし始め、広報部はすでに大忙しだった。

清川の年次晩餐会は帝光グランドホテル7階の帝光ホールで開催される予定だった。

これは帝光グランドホテルが盛大な宴会のために特別に用意した豪華なホールである。

木曜日の朝、藤崎輝が家を出た後、彼女も自分で車を運転して会社へ向かった。

年次総会は夜7時から始まるが、藤崎輝は早朝に東浜市へ向かった。そこの提携会社と新しい映画村の開発について協議するためだと聞いている。おそらく前回と同じように、午後にならないと戻ってこないだろう。

……

華やかな午後、暖かな陽光が青空に輝く金色の光を惜しみなく投げかけ、その柔らかな光に包まれた清川グループはより一層威厳を放っていた。

シンプルで上品なオフィス内で、企画部長の星野夏子は机に座り、ビジネス部から届いたばかりの書類に目を通していた。そのとき、ドアの外から軽いノックの音が聞こえた。

彼女は少し眉をひそめたが、顔を上げることなく淡々と応じた。「どうぞ」

アシスタントの梅田さんが軽やかに入ってきて、軽く頭を下げながら言った。「星野監督、広報部の片岸マネージャーから電話があり、帝光グランドホテルの準備がほぼ整ったので、確認に行かれますかとのことです」

「ええ、すぐに行くと伝えて」

星野夏子は手元の書類を閉じ、立ち上がって机の上のものをまとめてビジネスバッグに入れ、横のコートラックからコートを取って着た。傍らの梅田さんもすぐに前に出て彼女のビジネスバッグを受け取り、二人は足早に外へ向かった。

「星野監督、松尾部長もすでに向かったと聞きました。彼女の今年の業績もかなり良いようですね。去年のように幸運にも車が当たるかどうか分かりませんが」

会社の長い廊下を通ってエレベーターを待っている間、隣の梅田さんが突然慎重に星野夏子に話しかけた。

彼女が言及した松尾部長とは松尾蓮のことで、星野夏子の宿敵だった。星野夏子のような若さでこの地位まで上り詰めたことに、多くの人が不満を抱いており、松尾蓮もその一人だった。以前、前取締役会長が彼女の担当していたいくつかのプロジェクトを星野夏子に移管したことで、プロジェクトを奪われた彼女は当然星野夏子を良く思っていなかった。