翌日、金曜日、藤崎輝と星野夏子は早朝から起きていた。
今日の午後から会社全体が休みに入る。他の会社とほぼ同じで、旧正月明けの8日まで直接休みとなり、8日から仕事が再開される。
オフィスには片付けるべきものがあるはずなので、考えた末、星野夏子は会社に行くことにした。
須藤旭と渡辺薫は夕方に来る予定で、大野さんたちは既に休みに入っているので、夜は自分たちで料理を作らなければならないだろう。実際、これらのことはいつも藤崎輝が気を配っていた。彼の生活習慣は一般的な人とは少し異なっていた。
通常、彼のような人は家に大勢の使用人を雇っているはずだ。藤崎家の旧邸では、執事と使用人を合わせて10人以上いる。
もともと祖母の大野恵子は藤崎家の旧邸から何人か使用人を派遣しようと提案したが、結局藤崎輝に断られた。星野夏子も特に意見はなく、どうせ彼女は以前から一人暮らしに慣れていた。
会社に着くと、オフィス全体がすでにがらんとしていた。従業員たちは荷物をまとめるとすぐに会社を後にしていた。
オフィス内で、星野夏子が机の上の書類を整理してブリーフケースに入れていると、助手の梅田さんがノックしてドアを開け、手に贈り物の箱を持って入ってきた。
「星野監督!」
梅田さんは敬意を込めて微笑みながら言った。
忙しく作業していた星野夏子は顔を上げて彼女を見て、穏やかな口調で言った。「まだ帰っていないの?」
梅田さんは微笑んで、手に持っていたものを星野夏子の机に置き、笑いながら言った。「もうすぐです。どうせチケットは予約してあるので、午後には出発します。星野監督、これは広報部の片岸マネージャーの助手から届いたもので、会社からのあなたへの褒賞です。監督、ご存知ないかもしれませんが、この褒賞は最も価値が高いと言われています。松尾社長があなたの名前を発表したとき、下の人たちは沸き立ちました。松尾部長の顔がほとんど青ざめるところでしたよ!」
褒賞?
星野夏子は机の上の贈り物の箱をちらりと見て、昨日藤崎輝が彼女に言ったことを思い出した。少し考えてから頷いて、「うん、わかったわ。広報部の片岸マネージャーにお礼を伝えておいて。」
「はい、監督!」