実際、藤崎悠はここ数年かなり暇を持て余していた。本社に座っているだけで、清川の大半の重要な決断は藤崎輝が直接海外から操っていたため、暇な時間には花を植えたり、将棋を指したり、お茶を飲んだりと、心身を養う活動をしていた。
「七日に帝光エンターテイメントシティのオープニングセレモニーを監督しているって聞いたけど?」
藤崎悠が珍しく会社の事を気にかけた。
星野夏子はうなずき、藤崎悠に水を注ぎ、座って言った。「はい、そうです。本来ならあちらの事は小島部長の方が詳しいはずですが、今年は小島部長が外部に異動になり、広報部もその具体的な流れに不慣れなので、少し目を配っています。おじいさま、その日はおばあさまと一緒に来られますか?」
それを聞いて、藤崎悠は手を振り、笑いながら首を横に振った。「私たちは行かないよ。会社は輝とお前に任せて、百パーセント安心している。長年働いてきたから、もう引退して静かに暮らしたいんだ。お前の両親も、恐らく行く時間はないだろう。言わなくても、お前たちはわかっているだろう」