第168章 盛大な開幕式(二)

渡辺薫は微笑みながら頷き、佐藤蘭が差し出した手を優しく握った。その端正な顔に浮かぶ微笑みは特に温和で、傍らにいた人々を歓声を上げさせた。後ろから続いてきた数台の車から降りてきた、ある程度名の知れた女優たちも顔を赤らめ、心臓の鼓動が速くなった。

「藤崎取締役はまだ来ていないのですか?」

渡辺薫は微笑みながら尋ねた。

「もうすぐだと思います。さっき木村大輔秘書が来ましたし、開会式ももうすぐ始まります。渡辺社長、先に中へ入りましょう」

佐藤蘭は礼儀正しく案内した。

渡辺薫は快く頷いた。「あいつはいつも最後に入場するんだ。数分待つのが嫌なんだろう。先に入ろう、私は彼と同じテーブルだ」

そう言うと、佐藤蘭の返事を待たずに中へ入っていった。

佐藤蘭は微笑んで、彼の後に続こうとした。