第168章 盛大な開幕式(二)

渡辺薫は微笑みながら頷き、佐藤蘭が差し出した手を優しく握った。その端正な顔に浮かぶ微笑みは特に温和で、傍らにいた人々を歓声を上げさせた。後ろから続いてきた数台の車から降りてきた、ある程度名の知れた女優たちも顔を赤らめ、心臓の鼓動が速くなった。

「藤崎取締役はまだ来ていないのですか?」

渡辺薫は微笑みながら尋ねた。

「もうすぐだと思います。さっき木村大輔秘書が来ましたし、開会式ももうすぐ始まります。渡辺社長、先に中へ入りましょう」

佐藤蘭は礼儀正しく案内した。

渡辺薫は快く頷いた。「あいつはいつも最後に入場するんだ。数分待つのが嫌なんだろう。先に入ろう、私は彼と同じテーブルだ」

そう言うと、佐藤蘭の返事を待たずに中へ入っていった。

佐藤蘭は微笑んで、彼の後に続こうとした。

そのとき、背後から騒ぎと歓声が聞こえてきた。佐藤蘭が振り返ると、先ほどの階段の下に白いスポーツカーが停まっていることに気づいた。車から降りてきたのは、映画界のスター、カリーナだった。その後ろに続く高級車からは、同じく人気絶頂の歌手、小林菱子が現れた。さらにその後ろには超有名モデルや一流スターたちが続き、場は非常に盛り上がっていた。

これらの大物たちが車から降りると、周囲で長時間待っていたファンたちは我を忘れて押し寄せ、興奮して叫び声を上げ、写真や署名を求めた。これらの有名人たちはみな私設ボディガードを連れてきていたが、熱心で強力なファン集団を阻止することはできなかった。

ファンたちは横断幕を掲げ、愛を示すプラカードを持ち、押し寄せる潮のように殺到した。カリーナたちも笑顔でそれぞれのファンと写真を撮ったり、サインをしたりするしかなかった。

カリーナと小林菱子は、星野心と同様に、最近清川グループと契約を結んだ広告塔タレントで、どちらも一流の大物スターであり、人気が高く、数多くのファンから愛されていた。

今日も盛装して来場し、皆の視線を集めようとしていた。カリーナは華やかな宮廷風の女王スタイルの長いドレスを身にまとい、全体的に見るとかなりの存在感があった。

小林菱子は淑女路線で、薄い色のチャイナドレス風のジャケットと錦の裾のスカートを着ていた。清らかで美しい容姿は咲き誇る蓮の花のようで、気品高く魅力的だった。