須藤菜々は興奮と期待に満ちた表情で星野夏子を見つめた。星野夏子はただ穏やかに微笑み、藤崎輝が用意した赤い封筒を取り出して須藤菜々に渡した。「菜々、阿部恒、結婚おめでとう。永遠に幸せでいてね!」
「あなたの彼はなぜ一緒に来なかったの?」
赤い封筒を受け取りながら、須藤菜々は突然小声で尋ねた。
「母と一緒に来たから、彼は賑やかな場に加わらなかっただけよ。でも、この赤い封筒は彼が用意したものよ!」
星野夏子は小さく笑った。
「藤崎若旦那が用意したの?」須藤菜々は目を丸くして、周りを気にせずすぐに封筒を開け、中の小切手と祝儀カードを見て驚きの声を上げた——
「6つの9!本当に太っ腹!夏子、帰ったら藤崎若旦那に伝えて、私の彼への敬意は長江の水のように絶え間なく流れていると!」
そう言いながら、赤い封筒を胸に抱きしめ、小声で続けた。「夏子、今回の結婚式でかなり儲かりそう。あなたも藤崎若旦那と早く結婚式を挙げなさいよ。藤崎若旦那の影響力だけで、ご祝儀がどれだけ集まるか想像できないわ。全部あなたのポケットに入れて小遣いにして...考えただけでも気持ちいいでしょ。今日の結婚式のことだけど、私はもう阿部恒と話し合って、すべてのご祝儀は私のものになるし、彼の給料カードも私が管理することになったのよ、ハハハ...」
須藤菜々は今日の気分がとても良さそうで、顔に輝くような笑顔を浮かべていた。傍らの阿部恒も彼女を愛おしそうに見つめていた。星野夏子も心から二人のことを喜んでいたが、同時に抑えきれない思いが湧き上がってきた。もし彼女と藤崎輝が本当に今年の十一月に結婚式を挙げるとしたら、彼らの結婚式はどんな風になるのだろうか?
どんな女性も美しいウェディングドレスの夢を持っている。実は彼女もそうだった。以前は夢見る余裕もなかったが、今は全てが変わったのではないだろうか?期待し始めてもいいのだろうか?
披露宴会場に入ると、ほとんど満席だった。星野夏子は須藤菜々の最も親しい友人であり、また深田文奈との関係から上客として扱われ、席は須藤菜々たちの隣のテーブルに設けられていた。
結婚式はすぐに始まった。阿部恒が指輪を須藤菜々の薬指にはめ、須藤菜々が幸せのあまり涙を流す姿を見て、星野夏子も共感するかのように、言葉では表せない感情が胸に広がった。