どれくらい時間が経ったのか分からないが、彼女は動かさずにいた腕がしびれてきたのを感じて、ようやく落ち着きを取り戻した。彼をしばらく見つめていると、下から微かにインターホンの音が聞こえてきた。
おそらく草場医師が来たのだろう。
星野夏子はそっと立ち上がり、彼の強く握る手から自分の手を何とか引き抜くのに苦労した。無意識に手を伸ばして彼の額に触れると、まだとても熱かったので、思わず心配そうにため息をついた。
階下に降りると、真が草場医師と一緒に来ていた。
「奥様!ご主人はどうですか?」
真は入るなり、眉を寄せて心配そうに尋ねた。
星野夏子は少し体を横に向け、二人を中に招き入れながら答えた。「さっき解熱剤を飲ませたけど、まだ熱が下がらないわ。とりあえず上に行きましょう」
「ご主人は今日、川辺の視察で長時間風に当たっていました。きっと冷えたんでしょう。草場医師、早く診てあげてください」
真は焦って星野夏子について二階へ急いだ。
「彼はここ数日あまり休めていないみたい。今寝ついたところだから、静かにしてね」
書斎の入り口で星野夏子は突然足を止め、振り返って二人に言った。
草場医師はうなずき、自然と足音を軽くした。真は複雑な表情を浮かべ、星野夏子を見上げて何か言いたげだったが、結局何も言わなかった。星野夏子も彼らについて中に入った。
草場医師が近づくと、ソファで眠っていた彼はすぐに目を覚ました。目の前に増えた二人を見て、暗い瞳に言いようのない光が宿り、かすれた低い声で言った。「どうして来たんだ?」
「ご主人!どうですか?」
「大丈夫ですか?」
真と草場医師は同時に尋ね、目には深い心配の色が浮かんでいた。
藤崎輝はようやくおでこに手をやり、視線を横に向けて静かに彼を見つめる星野夏子に目をやり、淡々と答えた。「大したことない。ちょっとした風邪と熱だよ。彼女が心配しすぎているだけだ」
「あなたの熱はとても高いわ。発熱は小さなことじゃない。体はあなた自身のものだし、苦しむのもあなた自身よ」
星野夏子は彼と議論する気もなく、椅子を引いて彼の腕をつかんだ。「まず寝室に戻りましょう。草場医師、診察をお願いします」