第296章 小さな別れ(四)

星野夏子の言葉が落ちると、松尾涼介はすぐに笑い、デスクを回って歩み寄り、傍らのソファを指さして、とても謙虚に言った。「座って話しましょう。ちょうどこの件についてあなたと話したいと思っていたところです」

星野夏子も遠慮なく座った。秘書はすぐに二杯のお茶を運んできた。

「月影の件ですか?藤崎取締役から聞きました。最近、あなたと真マネージャーは映画村の件でとても心配していて、どういう状況か見に来たいとのことでした」

星野夏子はお茶を持ち上げて軽く一口啜り、澄んだ目線を松尾涼介の顔にゆったりと落とした。

「ええ、数日後に真マネージャーと東浜市に行かなければならないんです。おそらくかなり長い間そちらに滞在することになるので、月影のこちらはあなたに見ていただくことになりそうです。午後、月影で月例会議があるので、あなたに来てほしいと思っています」

松尾涼介はそう言いながら、自分もお茶を一口飲み、続けた。「最近、月影の件で多くの株主が不満を抱いています。藤崎取締役の意向によれば、私たちはさらに努力を続け、新人を育て、彼らを私たち自身の人材にし、そして以前に交渉した数本の大作も清川の名義で、時機が熟すれば…」

ここまで言って、松尾涼介はそれ以上言わなかったが、星野夏子も彼の意図を理解した。しばらく考えてから、うなずいた。「それはいい方法ですね。そういえば、最近カリーナの人気がかなり高いですよね?彼女は以前契約していた映像会社との契約もほぼ期限が来ていると聞いています。彼女を獲得できるかもしれません。彼女は私たちの清川とずっと良い協力関係を持っていますし、私は彼女に期待しています」

「ええ、そうですね。それもいい考えです。何人かのタレントはとても可能性がありそうです」

「この件は私に任せてください。カリーナと話し合ってみます。午後の会議は何時ですか?」

星野夏子は少し沈黙した後、答えた。

「午後3時です」

「わかりました。資料をください」

「はい、それと星野監督、斉藤凱も月影にとても興味を持っているようなので、斉藤凱の動きに注意してください」

松尾涼介は考えた後、思わず一言忠告した。

また斉藤凱か?

松尾涼介がそう言及したとき、星野夏子は以前、斉藤礼が確かに月影の主要な協力パートナーだったことを思い出した。そして、南浦プロジェクトの件で…