星野夏子の言葉が落ちると、松尾涼介はすぐに笑い、デスクを回って歩み寄り、傍らのソファを指さして、とても謙虚に言った。「座って話しましょう。ちょうどこの件についてあなたと話したいと思っていたところです」
星野夏子も遠慮なく座った。秘書はすぐに二杯のお茶を運んできた。
「月影の件ですか?藤崎取締役から聞きました。最近、あなたと真マネージャーは映画村の件でとても心配していて、どういう状況か見に来たいとのことでした」
星野夏子はお茶を持ち上げて軽く一口啜り、澄んだ目線を松尾涼介の顔にゆったりと落とした。
「ええ、数日後に真マネージャーと東浜市に行かなければならないんです。おそらくかなり長い間そちらに滞在することになるので、月影のこちらはあなたに見ていただくことになりそうです。午後、月影で月例会議があるので、あなたに来てほしいと思っています」