帝光娯楽クラブの外の駐車場に到着したのは、すでに夜の8時過ぎだった。賑やかな夜の生活がちょうど始まったところで、外のネオンサインが色とりどりに輝き、街全体を幻想的な雰囲気で包み込んでいた。
いわゆる娯楽クラブとは、実際には向かい合った二つのクラブのことで、バー街のようなものだが、この通りにはこの二つの超大型クラブしかなかった。
藤崎輝と星野夏子がクラブに入ると、中はすでに満員で、リズミカルな音楽がクラブ全体に響き渡り、ウェイターたちはテーブルの間を行き来して飲み物を運び、前方のステージでは3人がリードダンスを踊っていた。
下のダンスフロアには、一週間の疲れを癒すために久しぶりにリラックスしに来た若者たちがいた。
クラブは上下二階に分かれており、上階は主に個室になっていて、防音がしっかりしているため、中に座っていても外の音楽は聞こえない。ただし、ガラス窓を通して下の様子をはっきりと見ることができ、内部はKTV個室のような配置になっていた。
夫婦が個室に着くと、須藤旭がすでに中で待っていた。彼と一緒に来ていたのは男女一組で、呼び方からするとどうやら従弟夫婦らしく、須藤海と小穂と呼ばれていた。彼らは藤崎輝とも親しいようで、入るなり「輝さん、藤崎奥さん」と呼びかけ、星野夏子は少し恥ずかしく感じた。
座ったばかりで、須藤旭は藤崎輝を引っ張って酒を飲みに行った。星野夏子は脇に座り、隣の小穂の歌を聴いていた。彼女の歌声は悪くなく、かなり熱心に歌っていた。
実は星野夏子はこのような場所にあまり興味がなかった。以前は須藤菜々たちと一緒に来て楽しむのはまだ良かった。須藤菜々と阿部恒夫婦がラブソングを次々と歌い合うのを聴くのも面白かったが、今は男たちが集まって酒を飲み、彼女と小穂はあまり親しくないので…
彼女は少し体を傾け、のんびりと下を見ると、ステージの脇で藤崎凌子がDJやリードダンサーたちに手慣れた様子で指示を出し、時々自らもDJをしているのが見えた。
今日の藤崎凌子はいつもと同じ格好で、中に長い白いシャツを着て、外に銀と黒のスモールジャケットを羽織り、顔には黒いサングラスをかけ、頭には黒い帽子をかぶっていた。若々しく、とてもスタイリッシュに見えた。