第352章 戦略の変更（二）

斉藤礼が明らかに機嫌が悪くなったのを見て、山田勝も心の中で動揺し、考えた末、やはり我慢できずに諭した——

「斉藤さん、奥様はあなたを心配しているんです。あなたのために焦っているんです。社長がなかなか会社をあなたに渡さないので、奥様はとても不安がっています。仙奈さんは家柄もよく、才色兼備で、しかも斉藤さんに長い間心を寄せています。奥様が言うには、この縁談は斉藤さんにとって百利あって一害なしだとのことです！」

それを聞いて、斉藤礼の表情はさらに冷たくなった。

「斉藤さん、こういう話を聞きたくないのはわかっています。でも私が言っているのは全て事実です。奥様は古川さんを好きではありませんし、あなたと古川さんの間にはもう何の可能性もないのです。彼女のことをいつまでも気にかけているのはなぜですか？」

山田勝はもともと斉藤礼の母親の側近で、斉藤礼が斉藤凱に入社した時に彼の側に配属され、これまで何年も斉藤礼に従ってきて、彼のことについても多くを知っていた。

「彼女が好きかどうかは私には関係ない。私と沙織の間のことについては、今後は黙っていてほしい。誰にも彼女のことを話してほしくない」

斉藤礼は心の中で不思議と苛立ちを覚えた。この傷に触れるたびに、心の中には耐え難い痛みが走る。そしてこれらすべては、古川沙織という女性から来るものだった！

「では斉藤さん、夏子さんは……」

山田勝は小声でそっと探るように言った。

「まずは藤崎輝の動きを見てみよう。彼は最近、老人の行方を調査しているようだ。彼が何を突き止められるか見てみたい。老人の行方は私でさえ掴めないのに、彼は何年もかけても手がかりひとつ見つけられていないようだな」

斉藤礼は冷たく笑った。

「斉藤さん、若旦那と古川さんは本当にまだ生きているのでしょうか？彼らを救出した人は本当に社長なのでしょうか？奥様は実は、彼らを本当に救出したのは古川家で、社長はただの表向きの理由に過ぎないのではないかと疑っています。そうでなければ、古川家側になぜ何の動きもないのでしょう？それに、この数年間、奥様は社長にあなたに会社を任せるよう暗に示唆してきましたが、社長はずっと承諾していません……」

山田勝は考えた末、このように分析した。