星野山が鉢植えを持って星野陽の部屋に入ったとき、星野陽はちょうど使用人に手伝ってもらって前のソファに座ろうとしていた。
ここ数日間、ほぼ毎日点滴を受けていたが、少しも力が戻る様子はなく、全身がぐったりとして、自分で立ち上がる力さえなかった。
星野山はさっき木村先生や病院に電話をして状況を確認したところだった。星野陽の状態はとても悪く、おそらく精神状態も良くないため、治療の効果はほとんど見られなかった。
星野陽は病院を嫌っており、どうしても必要でない限り病院には行かないだろう。星野山ももちろんその理由を理解していた。
聞くところによると、彼の母親は彼を産む際に難産で亡くなったため、星野陽は心の底から病院という場所を嫌っていた。
「今日は少し良くなった?」
星野山は手に持っていた鉢植えを星野陽のベッドサイドテーブルに置いた。星野陽は顔を上げるだけでそれを見ることができた。
「だいぶ良くなったよ。忙しいなら、わざわざ戻ってこなくてもいい。家の雰囲気が好きじゃないのはわかっているから」
星野陽はソファに座り、苦労して何度か息を整えてから、弱々しい声で言った。そして手を振って使用人に退出するよう合図した。
使用人は察して一礼し、退出して、ついでにドアも閉めた。
星野山は星野陽の前に来て、向かいのソファに座り、手を伸ばして星野陽にコップの水を注いだ。
「忙しくないよ。使用人に手伝ってもらって、もっと外を歩いたほうがいい。裏庭の景色はいいし、新鮮な空気を吸って、気分を明るく保つことが、体の回復にとても役立つよ」
星野陽の老いた顔に寂しげな表情が浮かんでいるのを見て、星野山も胸が痛み、眉をしかめながらそう言った。
「私の体のことは自分でわかっている。今回倒れたら、もう二度と立ち上がれないだろう。あまり心配しなくていい。生死は運命だ。この年齢まで生きれば十分だ」
星野陽は淡々と語り、老いた声は非常に落ち着いていて、もがきや悲しみはなかった。しかし、そうであればあるほど、星野山の心は痛んだ。
「長生きできますよ」
どんな慰めの言葉をかければいいのかわからず、少し考えてから、星野山はそう言った。