379章 残局を片付ける藤崎若旦那(二)

月影から出てきた時、外はすでに暗くなり始め、街灯が一列に点灯し、街中の灯りが輝く時間帯だった。

星野夏子はさっと車に乗り込み、そのまま走り去った。

後ろからそう遠くない場所で、真は隣の別の車に乗っている黒服のボディガードに目配せした。その黒服はすぐに車を発進させて後を追った。一方、真はまだもう一台の車に座ったまま、月影の入り口をじっと見つめていた。

そのとき、突然電話の着信音が鳴り、真はすぐに出た——

「真さん、私です。誰かが匿名でタイム誌のメールボックスに資料を送ってきました。おそらく他の雑誌社も受け取っているでしょう。これは何年も前から深田文奈と星野山の……」

後の言葉は、真にはもう意味が分かっていた。

「誰が送ったのか調べられないか?」

真は冷静に尋ねた。

「IPを調べたところ、海外からのものでした。だから不思議に思いました。」

「なるべくこれらの情報が報道されないようにしてくれ。誰がこの情報を受け取ったのか調べてくれ。」

「分かりました。」

……

電話を切ったばかりのとき、星野心が岡田凛子を支えて月影から出てくるのが見えた。脇に待機していた車がすでに近づいてきて、二人が乗り込もうとしたとき、突然一人の人影が彼女たちの横を急いで通り過ぎ、岡田凛子はぶつかられて、手のバッグが「パン」という音を立てて地面に落ちた。

「すみません、すみません!急いでいたもので、ぶつかってしまって申し訳ありません!」

ぶつかった人はすぐに謝り、岡田凛子のバッグを拾い上げた。

「歩くのに目はいらないの?」

岡田凛子は腫れ上がった豚のような顔でその人をにらみつけ、バッグを奪い取って車に乗り込み、去っていった。

「仕掛けられましたか?」

ぶつかった人が車に戻ると、真は冷静に一言尋ねた。

「安心してください。私、虎がいつ失敗したことがありますか。試してみてください、はっきり聞こえるかどうか。」

端正な顔立ちの若い虎さんは笑いながら、イヤホンをつけて少し聞いてから、眉を上げて笑った。「できました!見てください!」

そう言って、手のイヤホンを真に渡した。真はそれを受け取って試しに聞いてみると、確かに……

「よくやった、後で褒美だ!」

真は爽やかに笑った。