第406章 葬儀(一)

そう言って、星野山にハンカチを差し出した。

星野山はそれを聞きながら、黙って頷き、ハンカチを受け取って顔を拭き、深く数回呼吸して、胸から溢れ出る悲しみを抑え込んだ。しばらくして、ようやく自分の悲しみをどうにか抑えることができた。

「この数日間、君も疲れただろう。ゆっくり休んでくれ。祖父の後のことは私に任せてくれればいい。母も数日間君に会えていないから、心配しているよ」

藤崎輝がそう言うと、ドアのところで待機していた木村大輔が彼の後ろに来ていた。

ベッドの上ですでに亡くなった星野陽に向かって黙祷した後、頭を上げて藤崎輝に言った。「星野市長、若様、奥様、どうかお気を落とさないでください」

藤崎輝は軽く息を吸い、手に持っていた星野陽が先ほど渡した書類の入った封筒を木村大輔に渡し、頷いてから命じた。「木村、すぐに祖父の葬儀の準備をしてくれ。まだ公表はしないように」

「はい、若様!」

木村大輔は返事をして、書類の入った封筒を受け取り、静かに退出した。

しかし、木村大輔の姿が扉の外に消えるやいなや、外の廊下から慌ただしい足音が聞こえ、誰かが駆け込んできた。

「おじいちゃん!」

「お父さん!」

それは星野心と岡田凛子、そして高橋文子で、後ろには橋本楓もいた。

星野心は部屋に駆け込むとすぐにベッドに向かって飛びつき、肝が裂けるほどに泣き崩れた。岡田凛子と高橋文子も涙を浮かべていた……

病室内の藤崎輝と星野夏子を見ると、高橋文子の表情は複雑になり、岡田凛子も一瞬固まった。

「私たちは先に出よう」

藤崎輝は彼らを見なかったかのように、星野夏子を抱きかかえて外へ向かった。

橋本楓のそばを通り過ぎる時、橋本楓は目が真っ赤で顔色が青白い星野夏子を見て、慰めの言葉をかけたかったが、その機会はなかった。

廊下に出ると、藤崎輝は彼女を脇のベンチに座らせた。病室からは星野心たちの心を引き裂くような泣き声が聞こえていた。

「もういいよ、泣かないで。彼があの世でうまくやっていけるよう祈るだけでいい。彼に約束したことを忘れないで」

彼は腰を下ろし、しゃがみ込んで、手を伸ばして彼女の熱い涙を拭き取った。慰めたいと思ったが、どう慰めればいいのか分からなかった。