第460章 結婚式パーティー(一)

彼女の腰に回された細い手の感触を感じながら、彼も優しく彼女を抱きしめた。

「急に自分がとても幸せだと感じたの。あなたはずっと私にこんなに優しくしてくれるよね?」

彼女は少しかすれた声で尋ねた。この幸せは彼女にとってあまりにも非現実的に感じられ、本当に怖かった。目覚めたら長い夢を見ていただけだったということにならないだろうか。もしこれが夢なら、彼女は二度と目覚めたくないと思った。

そうすれば、この温かさは冷めることなく消えることもないのではないだろうか?

「もちろんさ、僕はずっとお前のものだよ、夏子...」

彼は低い声で彼女の名前を呼んだ。感情的で低い声が彼女の耳に届き、彼女の心に言葉にできない柔らかさが広がった。そして突然、彼女は自分が非常に脆くなり、涙が溢れそうになるのを感じた。

彼はすでに身をかがめて彼女を軽々と抱き上げ、低く笑いながら言った。「さあ、こんなに嬉しいことなのに、なぜ泣いているんだい?今から私たちの結婚パーティーだよ。僕に感謝したいなら、今夜はしっかり埋め合わせてくれればいいさ、ね?」

「絶対嫌!」

彼女は少し赤くなった顔を背けた。

「なぜ嫌なんだい?今夜は私たちの本当の初夜だよ。僕はこの日をずっと待ち望んでいたんだ。君は少しも期待していないのかい?」

彼は彼女を抱きかかえて大股で前に進みながら、彼女の耳元で小声で言った。

「それはもう過ぎたわ!」

彼女は彼をちらりと見た。

彼は一瞬黙り込み、彼らの初めての時のことを思い出した。あの時は...。

その瞬間、彼の整った顔に喜びの微笑みが浮かび、低く笑いながら言った。「それは単に、君が運命的に僕のものだということを証明しているだけさ。すべてを僕に与えてくれたんだ。」

そう、すべての素晴らしいものを彼に与えたのだ。彼女を大切にし、いたわり、甘やかさない理由があるだろうか?

...

結婚式のパーティーは近くの古城で行われ、盛大な晩餐会だった。参加者のほとんどは旅行に来た観光客や、近くの町の住民たちだった。

ウェディングドレス、結婚式、古い教会、神秘的で美しい古城、彼は彼女にお姫様が王子様と結婚する夢を叶えてあげた。彼女の心の奥底に沈んでいた願いを心を込めて実現したのだ。