須藤菜々の家から帰る頃には、すでに夕方近くになっていた。星野夏子は本来、須藤菜々を誘って食事に行くつもりだったが、阿部恒がなかなか仕事を終えず、これも都合が悪いと思い、考えた末、諦めることにした。
車が聖蘭別荘区の近くに到着したとき、星野夏子は季野桐子に車を止めるよう言った。
「先に帰っていいわ。私はスーパーで少し買い物をして、それから歩いて帰るから。散歩がてらでいいの」
星野夏子は最近よくこうしていた。運動の目的を達成するために、聖蘭別荘区の入り口で車を降り、歩いて帰るようにしていた。藤崎輝がいる時は、いつも彼女に付き添って家まで歩いていた。
「はい、星野監督。では先に戻ります」
季野桐子は前方にすでに聖蘭別荘区が見えていたので、了承した。
星野夏子は軽く頷いた。「うん、帰って」
星野夏子はそう言うと、車から降りて前方のスーパーマーケットへと歩いていった。
藤崎輝からちょうど電話があり、今夜は早めに仕事を終えるとのことだった。時間に余裕があるので、彼女は手の込んだ料理を作って、最近彼女を熱心に世話してくれている彼に感謝の気持ちを表したいと思った。
このスーパーはこの高級住宅地のための生活用品店で、この時間帯は人もかなり多かった。
星野夏子のカートはすぐにたくさんの品物で一杯になった。これも気に入り、あれも気に入り、須藤菜々が言うには、吐き気がする場合は、葉酸などの他に、適度に粗食のビスケットなどを食べるといいとのことで、星野夏子はそれらも買い込んだ。
主に大量の本と胎教音楽のCDを買った。胎教用の子供向け物語や詩歌散文集など。
医師によれば、四ヶ月を過ぎたらこのように胎教を始めることができるという。夏子さんは初めて母親になるので、これらのことはもちろん分からない。先ほど須藤菜々と長い時間話し合い、総合的に参考にしていた。
高い本棚の前に立ち、星野夏子は横に置いた品物でいっぱいのカートを離れ、目の前の本でいっぱいの棚に集中した。彼女は情操を養う詩歌散文集をもっと見つけたいと思い、帰ったら藤崎輝にお腹の中の小さな命に読み聞かせてもらおうと考えていた。
しばらく探した後、ようやく現代詩集を見つけ、手に取って読み始めた——