医者は安藤若菜に塗り薬と消炎剤を処方し、二人を帰らせた。
帰り道、藤堂辰也の表情はまだ暗く沈んでいた。安藤若菜は車のドアに寄りかかって座り、窓の外を見つめたまま、一言も発しなかった。
道端にコンビニを見つけると、彼女は急いで言った。「ここで止めてください。何か買いたいものがあります」
運転手は彼女が奥様だと知っていたので、言われるとすぐに車を止めた。
藤堂辰也はイライラして眉をひそめた。「何を買うんだ?家には何でもあるだろう。必要なものがあれば使用人に買ってこさせればいい」
安藤若菜は目をきらめかせながら言った。「自分で買いたいんです」
男は疑わしげに彼女を見た。「一体何を買うんだ?」
「……生理用品です」
藤堂辰也は彼女を一瞥し、まだ冷たい口調で言った。「家にあるだろう。なくなったら使用人に頼めば……」