第144章 火傷したのも自業自得

安藤若菜は眉をひそめた。彼の長所など言えるはずがなかった。

例えば、ある人を心から憎んでいて、その人が消えてしまえばいいと思うほど憎んでいるなら、その人の長所を口にできるだろうか?

とにかく彼女の心の中では、彼は嫌な欠点ばかりの人だった。

それに、気晴らしに外出するためだけに彼の長所を言うわけにもいかなかった。そうすれば彼は必ず疑いを持つだろう。

「藤堂辰也、私だって人間よ。少しは自由と空間が必要なの。あなたが飼っている犬だって、外に連れ出して散歩させるでしょう」

男は眉を上げて軽蔑した様子で言った。「お前は犬か?なぜ俺がお前を散歩させる必要がある?」

「……」もう言葉が出なかった。

とにかく彼は彼女を困らせているだけで、外出させるつもりはなかった。

安藤若菜は急いで食事を終え、箸を置くとすぐに階段を上がった。彼が外出を許さないなら、他の方法で外に出るしかない。