第177章 あなたという大仏を収容できない

藤堂辰也は軽く微笑み、その彫りの深い横顔はどんな女性の心をも揺さぶるほどだった。

「嫉妬してないなら、なぜ怒るの？何を気にしているの？ただ送るだけじゃないか。安藤若菜、あまり複雑に考えないで。」

「あなたの車に乗るのはお断りします。それに、人を追い詰めないでください。」

「俺が決めたことは、誰も変えられない。」

「あなたは……」

そのとき、藤堂辰也の電話が鳴った。彼は携帯を取り出すと、画面には雲井雪からの着信が表示されていた。

特に隠すこともなく、彼は直接電話に出て、いつものように口元に妖艶な笑みを浮かべた。「ベイビー、何か用？」

「辰也、今どこにいるの？」雲井雪はさりげなく尋ねた。

「外で食事を終えたところだ……」

安藤若菜は雲井雪からの電話だと分かり、藤堂辰也の側に歩み寄って、微笑みながら言った。「私を送ると言い張っていたじゃない？今行きましょう。」

彼女の声は電話を通じて雲井雪の耳に届いた。電話の向こうの女性は一瞬沈黙し、安藤若菜は彼女が今頃青ざめた顔をしているだろうと想像できた。

藤堂辰也は意味ありげに安藤若菜を見たが、雲井雪に説明することもなく、笑いながら言った。「ベイビー、一旦切るよ。後でまた電話するから。」

「辰也！」雲井雪は慌てて彼を引き止め、無理に笑いながら言った。「この前聞いた質問の答え、もう決めたわ……後で必ず電話して、答えを教えるから。それに、あなたを信じてるわ。」

言い終わると、彼の返事を待たずに逃げるように電話を切った。

藤堂辰也は気にせず携帯をしまい、安藤若菜を見つめて意味深な笑みを浮かべた。

安藤若菜は淡々と言った。「行きましょう、送ってください。」

彼女は今や彼を恐れていなかった。最悪の場合、彼に強引に体を奪われるだけだ。それ以外に、彼が彼女から得られるものなど何があるだろう？

男は頷き、彼女のためにドアを開け、彼女の住む場所へと車を走らせた。

車がマンションに着くと、安藤若菜は降りた。藤堂辰也はただ何気なく尋ねた。「部屋に招いてくれないの？」

「私の家は小さすぎて、あなたのような大物は入りきれないわ。」安藤若菜はバタンとドアを閉め、男は興味なさげに車を発進させた。

彼は携帯を取り出し、ある番号をダイヤルして淡々と言った。「ある件を調べてくれ……」