第323章 夫婦のようになってきた4

彼は安藤心を見つめ、罪悪感を込めて言った。「娘よ、お父さんも助けたいんだ。でも安藤家と引き換えにお前の自由を得たら、私たちに何が残る？安藤家がなくなれば、お前はこれからどうやって生きていくんだ？安藤家さえあれば、お前は数年間刑務所に入っても出てきたら、また大金持ちのお嬢様だ。しかし安藤家がなければ、お前は何も持たないことになる！」

安藤心は苦しそうに首を振った。「お父さん、私は本当に刑務所に行きたくないの。藤堂辰也が言ったこと聞いてなかった？彼は私を一生刑務所に入れたがってる、二度と出られないのよ。お父さん、お金がなくなっても稼げるけど、私が入ったら、もう二度と出られないの」

「彼は裁判官じゃないんだ、彼が全てを牛耳れると思うのか？安心しなさい、お父さんは人に聞いてみたんだ、お前は最大でも五年の刑で出てこられる。娘よ、五年なんてすぐに過ぎるから、我慢しなさい」

「いや、私は刑務所に行きたくない、行きたくないの！」安藤心は狂ったように首を振った。彼女はどうしても刑務所に行きたくなかった。

「死んだ方がましよ、行くくらいなら！」

彼女のような見栄っ張りの女性にとって、刑務所に入ることは人間の地獄に行くようなもので、非常に恐ろしいことだった。

安藤明彦はすぐに怒り出した。彼は彼女を指さして怒って言った。「こうなるとわかっていたら、最初からするべきではなかった！誰がお前に人を殺せと言った？お嬢様として良い暮らしをしていればいいものを、なぜ人を殺したりしたんだ！今のお前の状況は自業自得だ！」

安藤心は目を見開き、信じられないという表情を浮かべた。

これが父親の態度なのか？彼はこんな風に彼女に言うなんて、彼女は彼の娘なのに。

安藤心は思わず冷笑した。彼女は冷たく安藤明彦を見つめ、恨みを込めて言った。「あなたは私が望んでこうなったと思うの？私がこうしたのも安藤家を守るためよ。もし私がいなかったら、安藤家はとっくに守られていたわ！お父さん、結局あなたの目には、私は安藤家ほど重要じゃないのね、あなたは本当に私の父親じゃない！」

「パン！」安藤明彦は怒りに任せて彼女に平手打ちをした。安藤心はバランスを崩し、床に倒れた。

この光景を見て、安藤若菜は視線をそらし、もう見たくなかった。

肉親同士が対立するのは、最も悲しいことだろう。