藤堂辰也はより邪悪に笑った。「頼み事をするなら誠意を見せろ。今日の正午までに、安藤家全体を引き渡せるなら、安藤心を一度だけ許してやる。できなければ、彼女は刑務所行きだ」
「これは...藤堂さん、安藤家全体というのは、少し...」
安藤明彦の言葉が終わらないうちに、彼は冷たい視線を向けられ、言葉が急に止まってしまった。
「これが私の唯一の条件だ。できないなら、お前の娘を一生刑務所に入れてやる!」言い終えると、男は振り向いて立ち去った。彼らとこれ以上話す気はなかった。
我に返った田中慧子は飛び上がり、彼を止めようとした。「藤堂さん、安藤若菜に会わせてください。私が直接彼女にお願いします!」
彼女が入り口まで追いかけると、ドアを守るボディガードに力強く押し返された。
「無礼な真似はやめろ。さもないとお前たちを全員追い出すぞ!」サングラスをかけたボディガードが彼らに向かって怒鳴り、田中慧子は身をすくめ、もう前に進む勇気がなかった。