第328章 少し夫婦らしくなってきた9

「最近忙しくないでしょう？ほら、今日は時間があるから電話したの。安藤若菜ちゃん、ショッピングに行きましょう。私がご飯をおごるわ」

この都市で、彼女たちにとって唯一の友達はお互いだった。

だから二人ともこの友情を大切にしていた。

安藤若菜もショッピングに行きたかったし、彼女に会いたかったが、彼女の足は……

手を軽く足の上に置いて撫でながら、安藤若菜は笑って言った。「今度にしよう。私も最近忙しいの。この忙しい時期が過ぎたら、私がご飯をおごるわ」

「何が忙しいのよ、今日は週末じゃない。言ってみて、どこにいるの？私が会いに行くわ」

「私は……」安藤若菜はどう切り出せばいいのか分からなかった。結婚のことさえまだ彼女に話していなかった。

夏目望は彼女の困惑を感じ取った。「どうしたの？何かあったの？私に話して、私が解決してあげる。知ってるでしょ、お姉さんは正義の味方なんだから！」

おせっかいというべきだろう。

安藤若菜はくすりと笑い、夏目望の昔からの過剰な熱心さを思い出して、少し辟易した。でもそれも彼女が優しいからで、気に入らないことがあれば、必ず首を突っ込まずにはいられなかった。

「わかったわ、来てくれていいよ」彼女は決心した。やはり本当のことを彼女に話そう。ずっと隠し続けることもできないだろう。

この足の状態が一生治らないとしたら、一生彼女に隠し通すことなどできないだろう。

夏目望は安藤若菜が言った場所の名前を聞いて、驚いた。そこは有名な金持ちが住む場所だった。安藤若菜がなぜそこに住んでいるのだろう？

しかし彼女は冷静に何も聞かなかった。どうせ直接見に行けば、わかることだ。

車を運転して洋風の豪邸の前に着くと、夏目望はため息をついた。この家にはいくらのお金がかかったのだろう。

安藤若菜は早くから使用人に彼女を迎えるよう指示していた。夏目望は使用人について中に入り、あちこち見て回った。

豪華なリビングに入ると、家への好奇心は、車椅子に座っている安藤若菜の姿を見た瞬間に、すべて消え去った。

安藤若菜は車椅子を動かして彼女の前に来ると、驚いている彼女に笑いかけた。「ぼうっと立ってないで、座って」

「安藤若菜……あなたの足は……」夏目望は眉をひそめ、どう尋ねればいいのか分からなかった。