彼女が安藤若菜の高校で最も優秀な同級生であり、現在唯一の友人であることを知っていた。
「二人で話してて、ちょっと用事があるから出かけてくる」藤堂辰也はそう言うと、出て行った。
彼が出ていくやいなや、夏目望は腕を組み、「正直に話しなさい」という表情で安藤若菜を見つめた。
安藤若菜は苦笑いし、手を挙げて言った。「話すわ、全部話すから」
二人はリビングに座り、夏目望は彼女の話を30分ほど聞いた後、怒りと心配と安堵が入り混じった気持ちになった。
あんな冷酷なおじさんと従姉妹がいることに怒り、彼女がそんなに苦しんだことに心を痛め、そして今も元気に生きていて、悪人たちが相応の罰を受けたことに安堵した。
「安藤心を狂わせるなんて、彼女には甘すぎるわ。あんな女、死んで地獄に落ちるべきよ!」夏目望は怒って言った。