第343章 ベイビー、旦那様って呼んでみて7

「旦那さま」というとても親密な言葉を、彼女はどうしても口にできなかった。

もし言うとしても、愛してからこそ、自然に言えるものだろう。ましてや彼女と彼の間には、過去の忌まわしい記憶が残っていた。

彼のこの要求は、彼女にとって本当に無理なことだった。

安藤若菜は車椅子の肘掛けをしっかりと握り、黙ったまま口を開かなかった。

藤堂辰也は目を見開き、しつこく言った。「早く言いなさい、結婚して半年近くになるのに、一度でも『旦那さま』と呼んだことがあるのか?」

「私たちは夫婦なの?」彼女は思わず反論した。

男は顔を曇らせて言った。「どうして夫婦じゃないんだ!若菜、実は私たちが夫婦だと認めていないのはお前だろう。俺はお前が妻だと認めないなんて一度も言ったことはない。」

「私があなたの妻なら、なぜ以前あんな風に私を扱ったの?」安藤若菜は思わず問い返した。