麺皮を伸ばし終わると、二人で一緒に餃子を包み始めた。たくさん作ったが、二人分の量だけを茹でた。
安藤若菜は最初、藤堂辰也が天才だと感心していた。初めて餃子を作るのに、形も良く、見た目も綺麗に包めていたからだ。彼女は内心、不愉快で嫉妬していた。
しかし、餃子が鍋から上がってくると、彼女の心はバランスを取り戻した。
茹でた餃子の半分は壊れていて、餡が漏れ出し、皮だけになっていた。
そして壊れた餃子は、藤堂辰也が包んだものだった。
安藤若菜は思わず彼をからかった。「見た目がどんなに良くても無駄よ。本当の腕前が足りないと、茹でるとすぐに中身が漏れるわ」
藤堂辰也は一瞬黙り込み、何も言わず、ただ餃子をすくい上げていた。
彼は良いものを一つの皿に、壊れたものを別の皿に置いた。