第354章 ベッドのそばで彼女の世話をする3

安藤若菜の心の中はどんな感情だったのか分からなかった。感動もあれば、見知らぬ感情も生まれていた。

誰かに世話をされると温かさを感じるが、ましてやその人が藤堂辰也であれば尚更だった。

彼の世話は彼女を驚かせ、恐縮させ、そして何よりも温かさを感じさせた。

テーブルランプの光の中で、彼女は彼の彫りの深い横顔を見つめ、彼がとても格好いいと思った。もし彼らの間に過去の傷がなければ、きっと彼女はとっくに彼に恋をしていただろう。

以前は彼を冷酷で残忍な人だと思い、心の中では常に悪魔のように見ていた。

今では長く接するうちに、彼はそれほど悪魔ではないと気づいた。

少なくとも、彼は冷血無情ではなく、少なくとも、彼は彼女を苦しめることもなくなった。

そう考えると、安藤若菜の目は柔らかくなり、口元は自然と弧を描いた。