第375章 彼女は病気になったようだ

毎回長い時間をかけて情熱が終わる頃には、安藤若菜はとても疲れていたが、心の中は甘い幸せで満たされていた。

彼は何も言わなかったが、彼女は知っていた。彼は彼女と離婚するつもりはなく、藍田佳人を選ぶこともないだろうと。

彼が藍田佳人を選ばないということは、彼の心の中に彼女がいるということなのだろうか?

安藤若菜は考えれば考えるほど嬉しくなり、夢の中でさえ笑っていた。

ただ彼が彼女を気にかけているというだけで、こんなにも嬉しいなんて、以前の彼女には想像もできなかったことだった。

もし以前、誰かが彼女に将来藤堂辰也を愛するようになり、彼のちょっとした気遣いで喜ぶようになると言ったら、彼女は絶対に信じなかっただろう。

でも今の彼女はそうなっていた。世の中のことは、本当に予測できないものだ。