外で長居することなく、二人は別れを告げ、それぞれ家に帰った。
安藤若菜はバラの花を抱えて家に入ると、島村おばさんは驚いて尋ねた。「安藤さん、誰からの花ですか?」
「友達からよ」彼女は笑顔で答え、花瓶を探してきて花を挿した。
安藤若菜の気分は良く、顔には終始嬉しそうな笑みが浮かんでいた。
島村おばさんが何か良いことがあったのかと尋ねても、彼女は笑うだけで何も言わなかった。
夕食後、安藤若菜がお風呂に入っている間、島村おばさんはこっそり電話をかけ、今日起きたことをすべて藤堂辰也に報告した。
バラの花を抱えて帰ってきて、ずっと笑っていたと。
誰であれ、その花は男性からのものだと思うだろう。
藤堂辰也は冷たく考えた、どんな男が花を贈って、彼女をあんなに喜ばせたのか。
まさか雲井陽介じゃないだろうな?