第460章 全部欲しい

彼は彼女の言葉を無視して、怒って尋ねた。

彼女が雲井陽介のために子供を送り出したのかどうか、真偽はひとまず深く追求しないでおこう。

しかし、それは彼らの子供であり、彼と彼女の共同の子供だ。彼は決して彼らの子供が他人のもとにいることを許さない。

安藤若菜は彼が目を剥いて怒っている様子を見て、目を伏せて淡々と言った。「私を行かせてくれれば、いつか子供をあなたに送らせるわ」

「今すぐ彼がどこにいるのか知りたい！」

「無理よ。私はあなたと一緒にいたくない。今、二つの選択肢を与えるわ。私を留めたいなら、あなたは永遠に子供に会えない。子供が欲しいなら、私を行かせて、二度と私を邪魔しないで」

「若菜！」彼女の言葉に彼はとても驚き、心を痛めた。

藤堂辰也は彼女をじっと見つめ、悲痛な面持ちで尋ねた。「一体どうしたんだ、なぜ私たちはこうなってしまったんだ？私はお前も子供も欲しい、選択なんてしない」

安藤若菜は口元をわずかに歪め、嘲笑うように笑った。「あなたは本当に欲張りね、私も子供も欲しいなんて。でも残念ながら、私はあなたが欲しくないの。そうそう、子供は生まれてすぐに人に譲ったわ。今はもう一歳くらいかしら。考えはまとまった？もし子供を選ばなければ、彼が大きくなったら、あなたとは親しくなれないわよ」

彼女がどうしてこんな冷たい口調で彼に話せるのか。これは彼女の言葉なのか？以前の優しく純粋で、彼を愛していた安藤若菜はどこへ行ってしまったのか？

藤堂辰也は唇をきつく結び、心は痛みに満ち、呼吸さえも痛かった。

「もう一度言う、お前も欲しいし、子供も欲しい！」彼は断固として、拒否を許さない口調で言った。

彼らは皆彼の宝物だ。一人も欠けてはならない。誰も彼から離れることはできない。

彼のこの言葉を聞いて、安藤若菜の心臓は鋭い痛みを感じ、目の中の憎しみはさらに濃くなった。藤堂辰也、あなたは本当に欲張りすぎる、全部欲しいのね。

私と子供、あなたは欲しい、そして藍田佳人も欲しいんでしょう。

私たち全員を欲しがるけど、世の中にそんな都合のいいことはないわ。

安藤若菜は心の中の憎しみと痛みを押し殺し、冷たく笑った。「わかったわ、あなたはまだ考えがまとまっていないようね。じゃあ私は行かないわ、子供がどこにいるかも教えないわ」