「お腹が少し空いたわ、ケーキを一つ持ってきてくれる?」
「かしこまりました」メイドは彼女の身分を知っていたし、若様が彼女をどれほど大切にしているかも知っていた。彼女の命令に従わないわけにはいかなかった。
そう言うと、安藤若菜は自分の寝室に入った。メイドは階下に降りて、お皿にケーキを一切れ乗せて持ってきた。ドアをノックして中に入り、彼女に渡した後、また掃除に戻った。
若菜はケーキをトイレに捨てて流し、数分待ってからドアを開けて出て、お皿をメイドに渡した。
「お皿を下に持っていって」
彼女の言うことはそのまま従うべきこと。メイドはお皿を持って階下に降りようとした。若菜はメイドの目の前で寝室に入り、ドアを閉めた。
メイドが階下に降りると、彼女はこっそり寝室から出て、ドアを閉め、書斎に忍び込み、棚の中に隠れた。