第46章

おばあさんの髪は完全に白くなり、額には深いしわが刻まれていた。慈愛に満ちた顔は血の気がなく、紙のように透き通っていた。

そして灰白色の美しい眉は、病の苦しみによって、さらに強く寄せられていた。

彼女の心は痛み始めた。彼女のおばあさんは、夢の中でさえ痛みを感じているのだ。彼女の不幸なおばあさん。皮膚と骨だけになった小さな手を握ると、彼女の鼻が酸っぱくなった。

「……」おばあさんの手から突然、黄ばんだ証明写真が一枚落ち、ベッドの縁に軽く舞い落ちた。彼女がそれを拾い上げると、それは白黒の写真で、母親の井上郁心と3歳くらいの彼女が写っていることに気づいた。

幼い頃の彼女は、母親に抱かれ、無邪気に笑っていた。そして母親は、20代くらいで、柳のような眉、澄んだ瞳、大きなウェーブのかかった髪をしており、魅力的だった。

彼女はその写真を見つめているうちに、目の前の輝かしい女性が、次第に目を見開き、悲しみに満ちた表情で、死んでも目を閉じない遺体へと変わっていった……

「パン！」彼女は写真を手のひらでしっかりと押さえ、震えながら、痛みが心に直撃するのを感じた。母親の死後、おばあさんは彼女が毎晩悪夢にうなされるのを見て、母親に関する写真をすべて燃やし、母親のことについても触れなくなった。

そのため、彼女はこの数年間、悪夢を心の奥底に押し込めることができた。母親を思い出すと同時に、母親を恐れてもいた。

しかし、おばあさんはこっそりとこの写真を残し、一人きりの時に短命だった母親を静かに思い出していたのだ。

彼女は写真をそっとおばあさんの手の下に戻し、布団をかけ直して病室を出た。まず洗面所に行って顔の涙跡を洗い流し、それからおばあさんの主治医を探しに行った。

「がん細胞の拡散がかなり進行しています。このまま化学療法を受けなければ、患者さんはいつ命の危険があってもおかしくありません」主治医はおばあさんのレントゲン写真を指さしながら、重々しく言った。

「お金が足りないんです。先に手術をして、残りのお金を後で払うことはできませんか？病院に頼んでいただけませんか、お願いします」彼女は紙に書き、涙で潤んだ瞳に切実な願いを込めた。

医師は彼女を同情的に見つめ、無力に首を振った。「できません。これは病院の規則です。私にもどうすることもできません。前回もお伝えした通りです」