「それで彼らはどこに行ったの?」どうしてこんなことに?
「知るわけないでしょ?あの博打打ちなんて久しく見てないわよ。今頃どこかの賭け台に張り付いてるんじゃないの。春杏のことなら、最近息子を連れて隣村の水野さんに再婚したって聞いたけど……あなたたち、結局部屋に泊まるの?この村で私の民宿だけが環境いいのよ。この村を過ぎたら次の宿はないわ。それに今は一部屋しか空いてないし……」
そう言うと、二人の前で遠慮なくあくびをした。
「裏庭の小屋を見てもいいですか?」あの小屋は、彼女とおばあさんが寄り添って暮らした場所で、彼女の幼少期の思い出がある。
女性は千雪を横目で見て言った。「あれは物置だよ、何を見るっていうの。泊まるなら入りなさい、泊まらないなら帰りなさい。ぐずぐずしないで」そう言って、門を閉めようとした。