彼はまた、藤原則安が心変わりして、麗由の良さを心から見出し、千雪を手放すことを期待していた。しかし現状では、麗由だけが傷つくことになるだろう。
なぜこのような状況になったのか?彼は少しずつ沈んでいく夕日を見上げ、世界全体の色が変わったように感じた。本当に皮肉なことだ、彼らはもつれ合って、ほどくことができない。
なぜ罪のない麗由がこの中に飛び込んできたのか?
「麗由の気持ちを考えたことがあるのか?彼女はお前を愛しているんだ、わかるか?」
「わかっている」藤原則安は静かになり、体を横に向けた。先ほどの怒りはすべて消え、ただ果てしない寂しさと無力感だけが残っていた。夕日に赤く染まったその横顔は、どれほど悲しげで、彼の声もまた:「ずっと前から、私は麗由に自分の気持ちを伝えていた。私たちは友達でしかありえない、幼馴染の婚約なんて気にしなくていいと...でも彼女がそれでも恋に落ちてしまうとは思わなかった...ただ申し訳ないとしか言えない、なぜなら私の人生には千雪しかいないから」
彼は振り向き、目に突然強い決意が満ちた。「わかるか?千雪は私のすべてなんだ。この一生、私は彼女だけを愛する。彼女自身が去りたいと思わない限り、絶対に手放さない!私は、彼女がもう傷つかないこと、これからずっと幸せでいることだけを願っている」
結局、彼は彼女をこんな危険な目に遭わせるべきではなかった。
「くそっ!」冷泉辰彦は彼の言葉を聞いて、眉をひそめ、目が鋭くなった:「俺もこのまま諦めるつもりはない。千雪が自分の口で俺を愛していないと言わない限り、たとえ天涯海角まで追いかけても、俺は諦めない!なぜなら、俺の愛も千雪だけだからだ!それに麗由のことだが、傷つけることになるなら早く終わらせるべきだ。傷がついてから愛していないと言うのではなく...」
「それは、お前とは違う!」藤原則安は冷たく彼の言葉を遮り、同じく決然とした目で:「私は麗由を愛していない、だから彼女に約束などしない。私は最初から彼女を拒絶していた。この婚約は親の決めたことだ。もしこの結婚式を阻止する代償が、今持っているすべてを失うことなら、私の選択は、すべてを捨て、千雪と共に去ることだ」