第212章

雅璃は彼女の心を見透かし、彼女の肩を叩いて慰めた。「ゆっくりでいいのよ。どの家庭にも難しい問題があるものよ。自分を信じて、辰彦のことも信じなさい。辰彦があなたを心の中で一番大切にしていることは明らかだわ。もう彼を傷つけないで。今は、彼にはあなたの励ましと共に戦う姿勢が必要なの」

「わかってる」千雪は外に走り去る車を見つめながら、唇を噛んだ。

雅璃も同じように見つめ、微笑んだ。「千雪、私がアメリカに行ったら、この花園を管理してくれないかしら?結局、私が苦労して築き上げたものだから、手放すのは忍びないの。花園とお店をあなたに譲るわ、受け取ってくれる?」

千雪は驚いて顔を上げたが、何も言わなかった。

「この贈り物を受け取りたくないの?あら、私ったら忘れてた。あなたは今や冷泉家のお嫁さんだもの。これからは冷泉家で働くのよね。私ったら何て頭が…」そう言いながら、自分の額を叩いた。