第162章 酔った男は手に負えない

松本佳代の笑顔には計算された小さな得意げさが満ちていた。

温井雅子もそれに気づいたようで、すぐに松本佳代に一言返した。

「高校生の頃は、みんな若い男の子や女の子だったわ。誰が恋愛なんてわかるの？あの頃は初恋の時期で、せいぜい好意を持つ程度よ。愛とか何とか言えるものじゃないわ。子供のごっこ遊びみたいなもので、本気にする人がいたら、それこそバカじゃない？」

松本佳代は当時から不良少女のような性格で、今では伊藤諾の前でアピールしたかったので、当然負けを認めるつもりはなかった。

「温井さん、あなたのその言葉は明らかに嫉妬が強すぎるわ。無理もないわね、高校時代、あなたを追いかける男子は一人もいなかったもの。確かに若くて初恋の時期だったけど、初恋が最も美しい感情であることは否定できないわ。それは一生忘れられないものよ」