第163章 あなたと出かけたい

実は、あの時の記憶はあまりはっきりしていません。当時は暗くて、よく見えなかったからです。

事の経緯はおおよそこうでした。

その年、女子風呂の配管が壊れて修理のため使用停止になり、学校から女子学生は午後5時から9時の間に男子風呂を使うようにとの通知がありました。

それに対応して、男子学生はその時間帯に風呂に入ることが禁止されていました。

あの夜、同じ寮の女の子が風呂から上がった後、シャワージェルを忘れてきたので、取ってきてほしいと頼まれました。

私の腕時計は壊れていて、ちょうど風呂に行く時間だと思い込んでいました。実際には9時5分を過ぎていたのです。

日曜日だったので、学校にはほとんど人がおらず、風呂場は真っ暗でした。

中に駆け込んだ時、誰もいないと思っていました。懐中電灯を持ってシャワージェルを探していた時、何気なく奥の方に光を当ててしまいました。