第178章 誰が嘘をついているのか

私のこの発言に対して、田中遠三は怒るどころか、むしろ穏やかになった。

「君は葉山夢愛に対して敵対する必要はない。彼女は私の女ではないし、私たちは恋人関係ではないと言っただろう。彼女は私の愛人ではないし、彼女のために妻に手を下すようなことはしない」

田中遠三は真剣な様子で、表情は率直だった。

しかし今の私は、もう彼を信じていなかった。

倉科が死んでから。

田中遠三の言葉は、一言も信じなくなっていた。

私も冷ややかに笑いながら彼を見て、反問した。

「いいわ、あなたは葉山夢愛を愛していないんでしょう。なら彼女を警察に引き渡しなさい!少なくとも二つのことは確かよ。彼女は五十嵐麗子に毒を盛ったし、それに私を殺そうと人を雇った」

田中遠三はまたタバコを一本取り出し、じっと私を見つめた。