「私が行って懲らしめようか?」
伊藤諾は目で、こそこそと盗撮していた記者を一瞥した。
私は頭を振って彼を止めた。「いいよ、放っておいて!」
「わかった、行こう!」
彼はルームキーを取り、私を引っ張ってエレベーターに乗った。
元々は夜明けまで彼に付き合うと約束していた私。
ホテルの部屋に入ると、靴を脱ぎ捨ててすぐにベッドに上がった。
ベッドに伏せるとすぐに眠ってしまった。
本当に疲れていて、まぶたが糊でくっついたようだった。伊藤諾が私を呼んでいるのは聞こえたが、目を開ける力もなかった。
翌朝。
電話の着信音で目が覚めた。ベッドサイドから携帯を手探りで取り、ぼんやりと電話に出た。
「もしもし」と言った途端、温井雅子が怒り出した。
「あなたたち二人、厚かましいわね!私がここで苦労してるのに、二人は楽しんでるのね!」